EP1-Sub03 拒絶の記憶

創作 第一章Subストーリー
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頭の中がまっしろになる。
何も見えないけど、パチパチって火花が散ってるみたいな音がして、目を凝らしてみると、わたしの目線の少し先にキラキラと光る、何かぼやぼやとした星型の何かが見えた。
ゆっくりと、手を伸ばしてみた。





✸ ☆ ✧








――――――――――――――――――――――――――――――――

ユーカはなんか、私たちがいない見当違いの方向をぼーっと眺めていた。

「…なぁ、ユーカは何してんの?」

「恐らく、今私の魔術の効力で、自分の記憶の欠片を断片的に見ている最中さ。とはいえ、この魔術は記憶喪失者のような極めて稀有なケースの場合だと…あまり…」

ダンペンテキ?とかケウ?とか、ばーちゃんが言ってる意味は半分くらいしか分かんなかったけど、
とにかく、ユーカは今記憶を戻すために頭ん中に衝撃を与えられているらしい!

「ふーん。私にはよく分かんねぇけど、なんか凄そ。流石ばーちゃん。」

「孫よ。尊敬してもらえるのはありがたいが、学校でもう少し真面目に授業を聞けないのかね?お前はやれば出来るだろうに…」

「えーーめんどくさい!」

ばーちゃんのことは尊敬してるけど、別に私は尊敬されたい訳じゃない!
楽しくて面白いことがあれば、それでいーやって思ってるし。








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「……あ、」

10分くらいしてから、ユーカが突然声をあげた。目をぱちぱちさせて、不思議そうな顔で私たちを見てる。

「ユーカよ、記憶は戻ったか?」

「…あー…えーーとですね…」

…すげえ歯切れが悪い喋り方してるな。ここに来るまでは『タネも仕掛けもございません〜』だとか、『ここどこ!?』だとか騒いでたくせに。アレ、言ってなかったけ。

「歯切れ悪いなぁ!戻ったのか戻ってねぇのか、どっちなんだよ?」

「う。ご、ごめんって。ええと…」

やっと話し始めたと思ったら、今度はこいつ、とんでもないことを言い始めた。

「あのう……変なこと言ってるってのは重々承知してるんですけど…家に帰りたくないな、って思っちゃって……」

「はぁ?なんでだよ。とっとと戻りたくねぇの?」

意味分かんねえ。帰りたくないだって?元の世界に戻ったらお母さん、お父さん、友達、待ってる人いっぱいいるだろ?ってか、思い出した後にそんなこと言い出すとか…

「わたしの記憶の中で見たんだけど…わたし、何でかは思い出せないけど、帰ることに超拒絶してて…なんか家に帰りたくないな、って気がして…」

うむ。
頭の悪い私にも分かるくらいに今のユーカの言ってること、超・曖昧!

「うん?ユーカ、そんなに記憶を鮮明に見ることができたのかね?」

「え?はい、昔の記憶が映像みたいになって、そのときの記憶がはっきり戻ってきたんです。それだけじゃなくって、その時の暑さとか、音とか、その時の自分の気持ちとかもハッキリ。凄すぎますよ。アイグレーさん何者なんですか?」

「ふーむ、そうか…」

今度はばーちゃんが、一人でブツブツなんか言い始めた。なんか考えてるときのばーちゃんの癖だ。
…って思ってたら、ユーカに向かってまた普通に話しだした。

「ユーカよ、家に帰りたくないのか?」

「…なるべく…帰りたくないです。でも、帰らなきゃな〜とは思ってます。」

「そうか。そんなお前に一つ伝えたいことと、提案があるのだが良いか?」

「は、はい?」

二人は勝手に話を進めってけど、私の頭の中はまだ?マークでいっぱいだ。

(どうせばーちゃんが言いたいことって、家に帰るべきだ、帰らせてやる、みたいなもんだろ。面白そうな奴だって思ってたから、もーーちょっとユーカの事を知りたかったけど…別世界の奴なんだったら、元いた場所に帰るべきだし…)

私は面白そうな奴にはちょっかい(物理)をかける癖がある。マーバもメドゥもエグシャも、私から一緒につるまないかって誘った。ユーカも同じような感じで誘った。

(けどさ、別の世界から来たってんなら流石になぁ…そこまで私は情がない魔女ではないのである!)

って心のなかでドヤ顔してたら、ばーちゃんがつらつら話し始めた。

「私がさっきお前にかけた魔術は、『記憶喪失者の記憶をもとに戻す』だなんて、そんな特殊すぎるケースのための魔術ではない。例えば、気絶している者や正気の無い者を起こしたり、もっと分かりやすい例を挙げれば…授業中に居眠りをしている際に起こすため…といったように、頭に衝撃を与える程度の効果があるものだ。」

「衝撃を与える程度?でも私、昔あったことがハッキリ見えましたよ?」

「お前が言っていることが正しいのであればな、ユーカ、お前は人間であるにも関わらず、魔女としての適性がかなりあるということになる。本来受けるはずの効果以上のものがお前に作用されたのだろう?」

「え、そ、そうなんですか?全然自覚ないんですけど…?」

お?あれ?雲行きが怪しくないか?

「無理もないだろう。あくまでもお前は今は、ただの人間なのだからな。」

「な、なぁばーちゃん、さっきから話が変な方向に進んでないか?なんでそんな話してんだ?」

ふぅ、と一息ついてから、ばーちゃんは確かにこう言った。無視したな今。

「ユーカ。これは私からの提案だが…魔女学校に入学してみないか?」

「…え?」

(…は、)

「はあぁ!!?」


次回「魔女学校とは!?」

ハノウ


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