EP1-13 新米先生と奇妙な生徒

創作 第一章 邂逅編
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「あーーもうーーー!ぜんっぜん終わんない!」

目の前には大りょうのにもつ。服とか、学校のランドセルとか、それ以外にも…とにかく、俺のにもつが全部山づみだった。

(もう…なんでこんなことに……)

ちょっと前のことを思い出す。


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「さて、顔合わせはおしまい。侑、とりあえずもう一回部屋に戻って片付けの続きやっておいで。まだ終わってないでしょ?」

「えっ」

「あなたはわたしと一緒に来てほしい所があるから、わたしに着いてきて!」

「は、はい。」

「ち、ちょっとねぇ、まだ片付けしないといけないの!?おわりじゃないの!?」

「えー、まだ寝泊まりできるくらいの部屋にはなってないんでしょ?部屋をちゃんとキレイにできたらまた母さんのこと呼んでよ。その時に判断するから〜」

「ええええええ……」


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あれから大体30分くらいたった今も俺はかたづけをしてて…
ちょっとはへや!って感じのへやになったけど、まだまだ…
俺、いつもはもっと早くかたづけできるんだ。ほんとに。でも、そういうもんだいじゃなくてさ…

「にもつ多すぎ!家も部屋もひろすぎーー!!」

これぜったい一人じゃ今日中にかたづけおわらないよ!
前の家の俺のへやに置いてあった椅子とかベッドとかはほとんど持ってきたけど、それ以外にも服とか本とか、後は母さんが俺にくれた魔ぐとかもぜんぶ俺がかたづけろって言うんだよ?

(魔法とか魔術のおかげで重いにもつはかんたんに動かせるけどさぁ…)

またにげだそっかなって考えてたとき、急にコンコンコンッてへやのドアがノックされた。俺のへやを知ってるのは母さんだけ。

「母さん?なに!?俺そろそろきゅうけいしたいんだけ…」

「わ、ええと、私ユーカさんじゃないです…」

「ど……えっ」

この声はさっきの人!?うわぁちょっとはずかし…じゃない!
とりあえず、俺はあわててドアを開けた。

「え、ええと、何ですか?俺になにか用ですか?」

「はい!今お部屋に入ってもよろしいでしょうか?」

「う、うーん…まだキレイになってないけど…それでもいいんなら…」

後ろをふりむくと、ゴチャゴチャのへや。でも、とりあえず人が二人すわれるくらいの空きはできたし…
ということで、俺はへやに入れてあげた。





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「改めまして、私の名前はダイアナ=ティターナです。よろしくお願いします!」

(この人、ダイアナ=ティターナさんっていうのか…)

ぺこり、って頭を下げたダイアナさんを見て、俺もあわてて頭を下げた。

「えと…俺は三さかき侑です。よろしく…あの、ダイアナさんはやっぱり、がいこく人なの?」

早速しつもんしてみた。さっき初めて会ったときから、この人…ダイアナさんは日本じゃめったに見ないきれいなむらさき色のかみのけだったから、がいこくの人なのかな?っておもってたんだけど…
でも、返ってきたこたえは、俺のよそう外のものだった。

「いいえ、私は魔界から来た魔女なんです。」

「………え!?」

いま、この人なんて言った?
魔界から来た……魔女?

「あ、魔女と言われても分からないでしょうか?そうですね、簡単に説明するなら…魔の力、魔力という力を持つ女性のことで…その中でも、魔女の上位互換、「大魔女」は特別な存在だといわれています。そして…」

「大魔女っていうのは、『魔女のそんけいする い大な存在で、かつ全魔女のあこがれ。』」

「…え?」

きゅうに口をはさんだ俺をダイアナさんがすごくびっくりした顔で見た。でもおかまいなしに続ける。

「それで、『魔界にはたったの100体しかいない』…んでしょ?」

「え……」

「え。…まちがってた?」

「あ、合ってます…!どうして、…人間の貴方がどうして大魔女のことを知っているんですか…?あ、お母様から聞いて…?」

「え?母さんから?」

俺は母さんが話してくれた魔界のお話のことを思い出しながら、笑ってこうこたえた。

「うん。母さんがね、いつも魔界とか、魔女のことをおしえてくれるんだ。だからダイアナさんがどんな人なのかも分かるよ!」

「えっ…そ、それはつまり…」

「へへ、それに俺ね、魔術を使いはじめてからもうすぐ一年なんだ!魔術つかうの好きなんだよ。」

どや!って顔をして、ダイアナさんに言ってみる。俺の魔術、まだまだ下手っぴだけどな。

「……これは…」

あれ。…もしかして、ちょっと話がかみあってない?
なんかすごい顔してるし。変なこと言ってないよな…?

「あはは。この子、やっぱりちょっと珍しいでしょ?」

後ろからぴょこっと母さんが入ってきた!

「ユーカさん…いやいや、ちょっとどころじゃないですよ!まだこんなに小さいのに、もう魔術が使えるなんて!しかも人間なのに…」

「小さくない!もう俺小学生だよ、6さいだよ。」

「えっ!?ま、まだ6歳だったんですか!?」

ダイアナさん、きれいな顔なのに目をまんまるにしてさ、そんなにびっくりすることだったのかな?

「で、ですが、年の割に知的過ぎると思いますよ…私にも弟がいますけど、6歳の時はもっと幼くて…」

「えーっ?俺、母さんにそんなこといわれたことないよ。」

「うん、侑は確かに賢い子だけど普通じゃない?」

「ええ、えぇえ…?」

ダイアナさんはそうなのかしら…?ってつぶやきながら首をかしげて俺のことをじー…って見た。なんかはずかしいよ。

「…ダイアナちゃん、そろそろ本題を話そうよ。」

「あっすみません…話が脱線してしまいました…」

まだ首をかたむけながら、私がおかしいことを言ってるのかしら…?でも…うーん…って言ってた。





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気をとり直して、けっきょく母さんも一緒に、三人で話をすることになった。
あんまり片付いてないなぁ…って言いながら俺のとなりにすわった母さんは、俺の方をむいてとんでもないことを言ってくれたんだ。

「さっき聞いたと思うけど、ダイアナちゃんは魔女なんだよ。だから、ダイアナちゃんがここにいる間、侑に魔術を教えてもらおうって話をしてたんだ。」

「えっ!?いいの!?」

すごい!その日に異能力使いに会えて、それが魔術使いの魔女で、しかも魔術を教えてくれるなんて!

「すっげえうれしい!ダイアナさん、ほんとに俺に教えてくれるの!?」

「はい。こちらに滞在させていただく代わりに、私がぜひあなたに…ええと、何とお呼びすればいいのでしょうか…」

「え?」

なんでそんな変なこときくんだろ。

「すみません、年上の人や同年代の人たちとばかり交流が深かったので、あなたぐらいの年の人にどう話せばいいのか分からなくて…お恥ずかしい話です。」

「ふつうに、侑でいいよ!それにです、とか言わなくていいじゃん!俺の方が年下だし!」

「それなら、侑が敬語使わなきゃいけない立場じゃない?」

「たしかに!?」

(そうだ、俺、この人のことこれから何てよんだらいいんだろ…?ふつうにダイアナさん?ダイアナ先生?ししょう…?)

「さ、流石に強要はしな…ええと、無理にとは言いませ…言わないよ!?普通に呼んで下さ…えー…呼んでね!」

「……ふはっ、なんかダイアナさん、ムリしてる感じしてておもしろーい!」

こら、って母さんにおこられそうになった時、その前に、ダイアナさんは左手を口にあててくすくす笑った。

「…ふふ。そう…ね、でも私、先生としては新米だもの。許してほしい…わ。」

この時、はじめてダイアナさんのえがおを見て、俺は…
この人、すっごくいい人なんだな、って直感で思った。

(…よし。なんてよぶか決めた!)

「仲良くなれそうでよかった!ダイアナちゃん、うちの侑、ちょっとヘンだけどいい子だから、よくしてやってね!」

「はい、勿論です!よろしくね、侑くん。」

「よろしくおねがいします!ダイアナ"先生"!」

右の手を出して、俺はダイアナ先生とあくしゅした。
魔界も人間界も、これから仲よくしましょうのしるしにあくしゅをするのは一緒なんだ、って俺は思ったんだ。
これが、俺とダイアナ先生の していかんけい のはじまり!

(ダイアナ先生が、すっごい先生になって、俺にいっぱい魔術を教えてくれますように!)










同時刻。
ダイアナの部屋は侑の部屋から案外近く、同じ二階フロアに位置している。
部屋の広さも侑の部屋と然程変わらない。
侑の部屋とは違いそこにほとんど物が置かれていないのは、まだダイアナは自分の着替え類などの手荷物と、ソリエルからの贈り物しか置いていないからだ。
侑とダイアナの面会の後、裕香によって暮らしの為の多くの荷物が運ばれるのだろう。
しかし。

「………んにゃ……」

誰もいないはずのその部屋に、なにかの声が響いた。
少しの沈黙の後、がさそこ、と何かが動く音が出て……そして、また沈黙が続いた。
それからしばらく声が聞こえることはなかった。



次回 第十四話「2つの贈り物」

ハノウ


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