EP1-Sub02 魔界と魔法
創作 第一章Subストーリー最高ランク : 10 , 更新: 2024/03/11 7:42:13
わたしの名前はゆうか!さて、わたしは記憶喪失(名前と趣味以外)、体調不良、不良に襲われる…
と、今日だけでなかなか密度の高い大問題を抱えて、さらに新たな問題に局面していた。
「だぁからーー!!ここはま、か、い!魔法を使える奴ばっかなとこ!」
「じゃあ証明してよー!嫌だよ、急に変なとこに来たと思ったら日本ですらないなんて!」
「ニホン?とか聞いたことねぇってば!証明しろって言われても、魔法下手っぴで使えねぇの!」
「そんな魔女いる!?」
……うん、さっきからこんな感じで話が進まない!
わたし、”ゆうか”は突然変なとこにきて、突然体調不良になって、突然四人の不良に襲われて(ダジャレとかじゃなくてほんとにだよ)、やっと逃げ切って安心したところで不良のリーダー格が背後にいただけでも恐怖なのに、
そのリーダーが言うには、ここがわたしの知ってる世界じゃなくて、なんと魔法なんてものが使える”魔界”っていう世界らしく…
もう、混乱するしかないね、夢でも見てるのかな?
「仕方ねぇ、証明しろって言うならしてやるよ。下手っぴなんだから失敗しても文句言うなよ!?ここの一帯火の海になってもな!」
「ほらぁー!やっぱり悪夢だよーー!」
「あっ、おい見つけたぞ!ソリエル!!」
「誰!?」
って、わたしたちの後ろの方からすっごいスピードで走ってきてるのはさっきの不良三人衆!?
「おせぇんだよお前ら!何やってたんだよ。」
「だって、エグシャが…」
「なんでアタシのせい!?マーバがほっとけって言うからぁ!!」
…あれ、さっき襲ってきた時はすっごい目つきしてたけど…思ったより子供っぽいな?この人たち。
「あ?何見てんだお前?」
「えぇ…ちょっと見てただけなのに…ガン飛ばさないでくださいよ…」
「おい、やめろマーバ。こいつは確かに縄張りに勝手に入ってきたが、なかなか面白そうだぞ?」
マーバって呼ばれた、さっきからガンを飛ばしてくる金髪の女の子が、ちょっとムッって顔をしたけど、無言で後ろに下がってくれた。
じゃあ、やっぱりリーダーはこの子…なのかな?
「あ、名前を言い忘れてた…私はソリエル。ソリエル・アストロカだ。で、この3人がメドゥパーシー、エグシャ、マーバ。」
「エグシャ・シンセルスだ!…あれ、こんな簡単に名乗っていいもんなのか?」
「メドゥの名前は、メドゥパーシー・サティウス!こんな喧嘩しなさそうなヤツにフルネーム教えたって問題ねぇだろ!」
「…マーバ・ヘイヤーロ。おい、こっちも名乗ったんだからお前も名乗れよ。」
「え、ええと、わたしは、ゆうかです…なんか、皆さんの名前が凄い仰々しくて、悲しくなってきました…」
(しかも、この人たちの名前がすっごい外国人っぽくて、ここが日本じゃ無いってこともはっきり分かっちゃって、余計に悲しくなってきた…)
「ユーカ?やっぱ聞いたことねぇ名前だな。お前、ラストネームは?」
「ら、らすとねーむ…?」
意味は分かんないけど、名前は教えたんだし、苗字のことかな?でも、覚えてないし…
(このソリエルって子、話してみたら案外まとも?だし、話してみたら何か教えてくれるかも?)
「あのー、実は…」
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
「「「「?????」」」」
あー、ダメだった。四人とも、顔が?マークでいっぱいになってる…
えっ、でもわたしの説明が下手くそだったってわけじゃないよね!?
「おいお前…デタラメ言ってるんじゃねぇだろうな?」
「酷いですよマーバさん、ちゃんと今までの経緯言いましたよ!?」
「アタシにはよく分かんなかったけど…こことは別のとこから来たってのは、ほんとなのか?」
「わたしも曖昧なんですけど多分そうなんですよ、エグシャさん。」
「うーーーん。…あ」
最後に唸り声をあげたのは、メドゥパーシーさん。
…この短時間で全員の名前と顔覚えたの、凄くない?
「ソリエル、お前のばーちゃんなら何か分かるんじゃねぇの?」
「あ、確かに?うちのばーちゃんなら…」
「お、メドゥ名案思いついちゃったカンジ?」
ぱああっと顔を輝かせたと思ったら、急にハッとしてわたしの方を見たメドゥパーシーさん。
な、なんだぁ?
「べっつにー、お前のこと思って考えた訳じゃないし?記憶喪失とか、哀れだから考えただけだし?」
「は、はぁ…」
…なんか言い方が意味深な気がするけど、気にしないことにした。
ソリエルさんのおばあさんがどんな人か知らないけど、なにか記憶が戻る手がかりとかが分かるかも…?
「ソリエルさん、そのおばあさんとわたしを会わせてもらえたりは…?」
「んーーー、まぁ、いいよ別に。」
あれ、案外あっさり。面倒くさいとかなんで私が〜とか言って渋られると思ってた。
「つか、タメでいーよ。お前、面白そうだし、どうせ年も近いだろ?何歳?」
「えーっと、年も覚えてませ…ないんだけど。」
「本当に名前と趣味しか覚えてないのかよ!?」
こうして軽口を叩きながら、わたしはソリエルのお婆さんがいるという、ソリエルの家に向かうことに。
メドゥパーシー、エグシャ、マーバの三人とも少しずつ話して、ちょっとだけ仲良くなれたかも。…マーバはまだちょっと怖いけど。
三人は私達と別れてもう家に帰るみたい。
(…不良な割には、ちゃんと家に帰るんだね…)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
ソリエルの家…というかお屋敷は結構近くて、さっきの草原から歩いて10分くらいの所にあった。
いかにもお金持ち!って感じの大きなお屋敷なんだけど、人気はそこまでないお家だ。
「よし、ばーちゃん呼ぶわ。ちょっと待ってろ。」
「え、こんなに大きいお屋敷なのに、こんな入口から呼べるの?」
「大丈夫大丈夫。ばーちゃんーーいるー?」
すると、お屋敷の扉がギイィって音を立てて、女の人がゆっくり出てきた。
(あ、本当に出てきた。…いや、ええ!!?)
「おお孫よ、今日は珍しく帰りが早いね。ん、誰だいその子は?見ない顔だね。」
「そ、ソリエル…この人、本当にソリエルのお婆さん?お母さんじゃなくて?」
ソリエルのお婆さんらしい女の人を見て絶句。いや…見た目若すぎない?
ソリエルと同じく綺麗な茶髪。顔にはシワ一つ無くて、見た目も3、40代の女性って感じ。
(こんなに若いお婆さんなんているわけ無いし…やっぱりここ別の世界なのかなぁ…)
「あ?んなわけねーだろ。ばーちゃんはもう今年でなな…」
「お黙り、孫よ!!」
ぎゃあ、さっきまで比較的優しそうだった綺麗な顔が急に般若に…っていうか、70代ってこと!?
「おっと、お見苦しい姿を見せてしまった。ゴホン、私の名はアイグレー・アストロカ。このソリエルの祖母だよ。中に入りな。部屋で話を聞こう。」
「は、初めまして。わたしの名前はゆうかです。その…アイグレーさんにお願いしたいことがあって、ソリエルにここまで連れてきてもらったんですけど…」
ということで、部屋まで移動しながら、わたしはカクカクシカジカ説明をしてみた。分かってくれるかな…
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
結果を先に言うと、アイグレーさんの理解力は、さっきの四人組の数億倍くらい高かった。誇張無しに。
「要するに、お前の記憶を呼び起こせばいいんだね?」
「えぇ…アイグレーさん、凄く理解が早いですね…何か疑問を持ったりとかしないんですか?」
「疑問?」
はっと笑ったアイグレーさんは、こう一言。
「正直お前さんが言ってることは私からすれば意味不明だが、私の手にかかれば大体の問題は解決するのさ。私が疑問を持つのは、お前さんが私の渾身の魔術の手によっても何も変わらなかった時だよ。まぁ、そんなことは無いだろうが。」
(わぁ、なんて自信!か…かっこよい!)
「ばーちゃん、大口叩いてるけど本当にすげーんだぜ!なんせ、大魔女なんだからな!」
「ダイマジョ…?」
「その話はいいから、ユーカよ、頭を私の方へ寄せなさい。」
「は、ハイ!」
すごい。いよいよわたしの記憶が戻る…かも!
魔術?っていうのはよく分かんないけど、とにかく今はわたしの記憶のことを知りたい!
「太陽魔術『__』…」
よく分からない呪文を唱えたと同時に、わたしの視界はまっしろになった。
次回「拒絶の記憶」
※一部表現の誤りを修正しました。
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